【第1回】C#プログラミング入門 - 環境構築から最初のプログラムまで
こんにちは!この連載では、プログラミングが初めての方でも理解できるように、C#を基礎から丁寧に解説していきます。「プログラミングって難しそう...」「自分にできるかな...」と不安に思っている方も大丈夫です。一緒に一歩ずつ進んでいきましょう!
C#って何?なぜC#を学ぶの?
C#の基本情報
C#(シーシャープ)は、マイクロソフトが2000年に発表したプログラミング言語です。読み方は「シーシャープ」で、音楽記号の「♯(シャープ)」から来ています。ちなみに、「C」の次の段階という意味も込められているんです。
C#は世界中で使われている人気の言語で、初心者にも学びやすく、プロの開発現場でも活躍している実用的な言語です。
C#でできること
C#は非常に汎用性が高く、様々な分野で活用されています:
- Windowsアプリケーション: メモ帳のようなデスクトップアプリ
- Webアプリケーション: ショッピングサイトやSNSのようなWebサービス
- スマホアプリ: iPhoneやAndroidで動くアプリ(Xamarinを使用)
- ゲーム開発: Unityという有名なゲームエンジンで使われています
- クラウドサービス: Azure(マイクロソフトのクラウド)での開発
- AI・機械学習: ML.NETを使ったAI開発も可能
特にゲーム開発に興味がある方には、UnityでC#が使われているため、将来的に自分でゲームを作ることもできます!
初心者にC#がおすすめな理由
- 文法が読みやすい: 英語に近い自然な書き方ができます
- エラーメッセージが親切: 何が間違っているか教えてくれます
- 開発環境が無料: Visual Studioという強力なツールが無料で使えます
- 情報が豊富: 日本語の学習資料やコミュニティが充実しています
- 需要が高い: 企業での採用も多く、仕事にも繋がりやすい言語です
プログラミングってそもそも何?
「プログラミング」という言葉を聞いたことはあっても、具体的に何をするのか分からない方も多いと思います。
簡単に言うと、プログラミングとは、コンピュータに対して「やってほしいこと」を順番に指示することです。
例えば、料理のレシピを想像してください:
- 水を沸騰させる
- パスタを入れる
- 7分茹でる
- お湯を切る
これと同じように、コンピュータに対して:
- 数字を2つ用意する
- その数字を足す
- 結果を画面に表示する
という風に指示を出すのがプログラミングです。コンピュータは指示された通りに正確に動いてくれます(逆に言えば、間違った指示を出すと間違った結果になります)。
準備するもの
プログラミングを始めるには、コードを書くための「開発環境」が必要です。開発環境とは、プログラムを書いたり、実行したり、エラーを見つけたりするためのツールのことです。
今回はVisual Studio Communityという無料のツールを使います。これはマイクロソフトが提供している非常に高機能な開発環境で、プロの開発者も使用しているものです。
必要なパソコンのスペック(最低)
- OS: Windows 10以降(Macでは本ツールはサポート終了したためVisual Studio Codeに拡張機能を入れて開発するしかないです)
- メモリ: 4GB以上(16GB以上推奨)
- ディスク空き容量: 20GB以上
- インターネット接続: インストール時に必要
スペックが少し低くても動きますが、快適に開発するには上記を満たしていることが望ましいです。
Visual Studioのインストール手順
それでは、実際にインストールしていきましょう。
1. ダウンロード
- ブラウザでVisual Studioの公式サイトにアクセス
- 「Visual Studio Community」の「無料ダウンロード」ボタンをクリック
- ダウンロードしたファイル(VisualStudioSetup.exe)をダブルクリックで実行
2. インストール
- インストーラーが起動したら、「続行」をクリック
- しばらく待つと「ワークロード」の選択画面が表示されます
- 「.NETデスクトップ開発」にチェックを入れます
- これがC#でWindowsアプリを作るために必要な機能です
- 右下の「インストール」ボタンをクリック
- インストールが開始されます(15〜30分程度かかります)
- 完了したら「起動」をクリック
3. 初回起動の設定
- Visual Studioが起動すると、サインインを求められることがあります
- サインインしなくても使えますが、サインインすると設定が保存されます
- マイクロソフトアカウントがあればサインイン、なければ「スキップ」でOK
- 開発設定を選択します
- 「Visual C#」を選択してください
- 配色テーマを選択します
- 「青」「ダーク」「ライト」から好きなものを選んでください
- 後から変更できるので、深く考えなくて大丈夫です
- 「Visual Studioの開始」をクリック
これでインストールは完了です!お疲れ様でした!
最初のプログラムを作ってみよう!
いよいよプログラミングを始めます。プログラミングの世界には、最初に「Hello, World!」という文字を表示する伝統があります。これは1970年代から続く慣習で、新しい言語を学ぶ時の最初の一歩とされています。
プロジェクトの作成
プログラムを作る時は、「プロジェクト」という単位で管理します。プロジェクトとは、プログラムに必要なファイルをまとめた入れ物のようなものです。
- Visual Studioのスタート画面で「新しいプロジェクトの作成」をクリック
- 検索ボックスに「コンソール」と入力
- 「コンソール アプリ」を選択して「次へ」をクリック
- テンプレートが複数表示される場合は、言語が「C#」のものを選んでください
- 「コンソールアプリ」とは、黒い画面に文字を表示するタイプのアプリです
- プロジェクト名を「MyFirstApp」と入力
- プロジェクト名は半角英数字で入力してください
- 日本語は使えますが、後々トラブルの原因になることがあります
- 保存場所を選択(デフォルトのままでOK)
- 「ソリューションとプロジェクトを同じディレクトリに配置する」はチェックなしでOK
- 「次へ」をクリック
- フレームワークは「.NET 8.0」または最新版を選択して「作成」をクリック
プロジェクトが作成されると、自動的にコードを書く画面に切り替わります。
コードエディタの見方
画面の中央に、Program.cs
というファイルが開いているはずです。この.cs
という拡張子は「C Sharp」の略で、C#のファイルであることを示しています。
すでにいくつかのコードが書かれているかもしれませんが、これからそれを書き換えていきます。
コードを書いてみよう
以下のコードを入力してください。コピー&ペーストではなく、できれば自分の手で打ち込んでみてください。タイプミスをしながら学ぶことで、より記憶に定着します。
using System;
namespace MyFirstApp
{
class Program
{
static void Main(string[] args)
{
Console.WriteLine("Hello, World!");
Console.WriteLine("C#プログラミングへようこそ!");
Console.WriteLine("これが私の最初のプログラムです!");
Console.WriteLine(); // 空行を入れる
Console.WriteLine("今日の日付と時刻:");
Console.WriteLine(DateTime.Now);
}
}
}
コードの意味を理解しよう
一行ずつ丁寧に説明します。最初は難しく感じるかもしれませんが、「そういうものなんだ」と思って読み進めてください。何度も見ているうちに自然と理解できるようになります。
using System;
using System;
これは「Systemという道具箱を使います」という宣言です。Systemには、画面に文字を表示したり、日付を取得したりする便利な機能が入っています。using
は「使う」という意味で、プログラムの最初に書きます。
namespace MyFirstApp
namespace MyFirstApp
{
// ...中身...
}
namespaceは「名前空間」といって、プログラムを整理するための仕組みです。大きなプロジェクトでは、同じ名前の機能が複数あるとごちゃごちゃになってしまうので、namespace で分類します。今は「プログラムの住所」くらいに思っておいてください。波括弧{}
で囲まれた部分がnamespaceの中身です。
class Program
class Program
{
// ...中身...
}
classは「設計図」や「型」のようなものです。プログラムは複数のclassを組み合わせて作ります。今は「Programという名前の部品の設計図」と考えてください。これも波括弧{}
で囲みます。
static void Main(string[] args)
static void Main(string[] args)
{
// ...実際の処理...
}
これがプログラムのスタート地点です!プログラムを実行すると、必ずこのMain
メソッド(関数)から始まります。ゲームでいうと「スタートボタンを押したところ」、物語でいうと「第1章」です。
static
= このプログラム全体で共通void
= 戻り値(返事)なしMain
= メイン(主要)という名前(string[] args)
= 外部からの情報を受け取る箱(今は使いません)
今は細かい意味を覚えなくても大丈夫です。「プログラムの始まりはMain」とだけ覚えておいてください。
Console.WriteLine
Console.WriteLine("Hello, World!");
ここが実際に動作する部分です!
Console
= コンソール(黒い画面)を表します.
= 「の」という意味(コンソールの〜)WriteLine
= 1行書いて改行する("Hello, World!")
= 表示したい内容。ダブルクォーテーション""
で囲みます;
= セミコロン。命令の終わりを示します(日本語の句点「。」のようなもの)
つまり、「コンソール画面に"Hello, World!"と表示して改行してください」という命令です。
DateTime.Now
Console.WriteLine(DateTime.Now);
DateTime.Now
は現在の日時を取得する機能です。Console.WriteLine
の中に入れることで、今の日付と時刻を表示できます。文字ではなく、実際のデータを表示する時はダブルクォーテーション""
は不要です。
プログラムを実行してみよう!
それでは、いよいよプログラムを動かしてみましょう!
- 画面上部の緑色の再生ボタン(▶)をクリック、または
F5
キーを押す - 黒い画面(コンソールウィンドウ)が開きます
- 以下のように表示されれば成功です!
Hello, World!
C#プログラミングへようこそ!
これが私の最初のプログラムです!
今日の日付と時刻:
2025/10/04 14:30:25
おめでとうございます! これであなたも立派なプログラマーです!
画面が一瞬で消えてしまう場合は、プログラムの最後(閉じ括弧}
の直前)に以下を追加してください:
Console.WriteLine("Enterキーを押して終了...");
Console.ReadLine();
これで、Enterキーを押すまで画面が残ります。
よくある質問とトラブルシューティング
Q: 緑の再生ボタンが見当たりません
A: 画面上部のツールバーを確認してください。「MyFirstApp」と書かれた横に▶マークがあるはずです。見つからない場合は、メニューバーの「デバッグ」→「デバッグの開始」をクリックしてください。
Q: エラーが出て実行できません
A: 以下を確認してください:
- セミコロン(;): 各命令の最後にあるか
- 波括弧{}: 開き括弧と閉じ括弧の数が同じか
- ダブルクォーテーション(""): 文字列の前後にあるか
- 大文字小文字: C#は大文字小文字を区別します。
Console
とconsole
は別物です - スペルミス:
WriteLine
をWritLine
のように間違えていないか
Visual Studioは親切で、エラーがある場所に赤い波線を表示してくれます。その部分をマウスオーバーすると、何が間違っているか教えてくれます。
Q: 日本語が文字化けします
A: ファイルの文字コードが適切でない可能性があります。メニューバーの「ファイル」→「名前を付けて保存」→「エンコード付きで保存」→「UTF-8」を選択してください。
Q: 実行したら画面が一瞬で消えてしまいます
A: これは正常な動作です。プログラムが終了すると画面も閉じます。前述のConsole.ReadLine()
を追加すると、キー入力を待つようになります。
今日のまとめ
今回学んだことを振り返りましょう:
- C#とは何か: マイクロソフトが開発した汎用プログラミング言語
- C#でできること: アプリ、Web、ゲームなど様々な分野で活躍
- Visual Studioのインストール: 無料で使える強力な開発環境
- 最初のプログラム: 「Hello, World!」の作成と実行
- プログラムの基本構造: namespace、class、Mainメソッドの役割
- Console.WriteLine: 画面に文字を表示する方法
プログラミングは、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると楽しくなってきます。少しずつ、確実に進んでいきましょう!
次回予告
次回は、プログラムの基本中の基本である「変数」について学びます。変数とは、データを入れておく「箱」のようなもので、プログラミングには欠かせない概念です。
- 変数とは何か
- 変数の作り方と使い方
- データの種類(整数、小数、文字列)
- 変数を使った計算
具体的な例を使いながら、身近なものに例えて丁寧に解説します。次回もお楽しみに!
練習問題(余裕がある方向け)
実際に手を動かすことで、理解が深まります。以下の課題にチャレンジしてみましょう!
練習1: 自己紹介プログラム
Console.WriteLine
を使って、自分の自己紹介を表示するプログラムを作ってみましょう。
Console.WriteLine("私の名前は太郎です");
Console.WriteLine("年齢は25歳です");
Console.WriteLine("趣味はゲームと読書です");
Console.WriteLine("C#を頑張って学びます!");
練習2: 空行を使った見やすい表示
空行を入れることで、表示を見やすくしてみましょう。Console.WriteLine();
と何も書かないと空行になります。
Console.WriteLine("====== 自己紹介 ======");
Console.WriteLine();
Console.WriteLine("名前: 太郎");
Console.WriteLine("年齢: 25歳");
Console.WriteLine();
Console.WriteLine("====================");
練習3: DateTime.Nowを使ってみる
今日の日付を表示して、プログラミングを始めた記念日として記録してみましょう!
Console.WriteLine("プログラミングを始めた日:");
Console.WriteLine(DateTime.Now);
Console.WriteLine();
Console.WriteLine("この日を忘れずに頑張ります!");
できましたか?エラーが出ても大丈夫です。エラーから学ぶこともたくさんあります。何度も試して、慣れていきましょう!
それでは、次回もお楽しみに!Happy Coding! 🎉